Nikon D200 TAMRON SP AF90mm F/2.8 Di MACRO1:1三脚使用 撮影地:新宿御苑 すさび写真生活 このところ写真生活にいろんな変化がありました。かといって上手くなったりしないのですが、年末から最近まで写真にまつわるエピソードをブログに残しておこうと思い、だらだらと書いてみようと思います。相変わらず書き出すと長いので、忙しい方はパスして下さい。 昨年末に新宿のキタムラ フォトギャラリーの展示会に出品させてもらったのですが、その会場にカメラのキタムラが発行している「四季」という無料写真誌が置いてありました。その巻頭を飾っているのが風景写真家の米美知子さんでした。 それまで風景写真というジャンルを意識したことも無かったし、その分野の写真家も特には知りませんでしたが、野生的な登山家のような方が多いのでは、と勝手に思っていました。その雑誌に載っている米美知子さんは街中で見かける髪の長い普通の女性のようでした。 米美知子さんの撮る写真は、自然のなかに美しい主人公を見つけだして、自身が感動したそのままを表現されているように見えました。漠然とした美しさではなく、何でこれが美しいのかが写真を見て分かるような感じです。 その経歴も驚きです。もともとはピアノ先生でしたが、ある日写真に目覚め、まったくの素人だったのがコンテストに応募して、わずか2年で雑誌フォトコンテストの年度賞1位に駆け上がったのです。しかも最年少の過去最高得点まで記録しています。そして風景写真の登竜門といわれる前田真三賞を女性で始めて受賞しプロとなりました。 私が撮ってる花や木々は大きく云うと風景写真というジャンルに入るようです。米美知子さんもマクロで花やキノコを撮っています。カメラ好きの私は機材を調べたところ、ペンタックス645NⅡという中型のフィルムカメラを使っていました。 米美知子さんは写真をやろうと思い立ったときにまずこのペンタックス645Nを購入し、コンテストに参戦しています。最新がNⅡで旧型がNなのですが、米美知子さんはNで勝ち抜いて一等の景品でNⅡを獲得しています。 風景写真系の雑誌を本屋で片っ端から調べるてみると、アマもプロも半数以上の人がペンタックス645系で撮っています。しかもフィルムは発色のいいベルビアというリバーサルフィルム。デジタルの時代にここの世界はフィルム全盛です。 皆さんしっかりとした三脚を立ててじっくりと写真を撮っているようです。というよりも露光時間を確保して風景を焼き付けるために三脚は必須なのです。 早速新宿のペンタックスギャラリーでペンタックス645NⅡをチェックしてきました。大きくズッシリした感じが、いかにもいい写真が撮れそうな感じです。大きな割には繊細な造りでオートフォーカスその他35mm一眼レフと操作感は変わりません。ファインダーもすごく見やすくて、ピントも合わせやすいです。 定価だととんでもない値段ですが、ヨドバシカメラでもとんでもない値段です。でも中古屋に行くと、旧型のNであればマクロと標準ズームレンズをつけてもD300ぐらいの値段です。すなわち安くないのですが、D200をD300に買い換えると思えば買えてしまう値段なんだなあ、と一人意味のない納得をしました。 昨年末の展示会で初めて自分の写真を半切サイズで見たのですが、引き伸ばすとやっぱり雑な部分が倍増されていました。私は三脚を持ち歩くのが面倒だしアングルを探すのに邪魔なので手持ちで撮影してきましたが、シャッタースピードを上げてブレ防止をしているためどうしても感度を上げざるを得ません。デジタルの気軽さがこういう雑な撮影を生んでるのだと思い知らされました。ピントが前ピンですし。 そもそも自分がどういう写真を撮ろうとしているのかをちゃんと考えないと機材も何もないので、改めて自分に聞いてみました。 私は「ものづくり」が大好きで今までは自分の感性のおもむくままに「映画」を撮ったり、「絵」を描いたり、「人の住む器」をつくってきました。そして、行き着いたところは自然の造形に学ぶことでした。学ぶためには多くの美しい造形に出会わなければなりせん。花をマクロで覗いたときに、こんな身近にも造形美があったんだと気がつきました。 そんな「自然の造形美」が好きなので、「それを見つけ出して」「それが一番輝いている瞬間」を撮ってみようとしているようです。そして写真をきっかけに更に美しい風景を訪ね歩き、感動してみたいのだと。 そんな美しいものを狙っていたのなら、もうちょっとちゃんと撮れないものかと思うものです。もっとちゃんと撮らないと上の世界には上がれないのではと。せっかくやってる趣味ですから、上手くなってコンテストに入賞しまくって、名が知れるようになりたいものです。 2月上旬にあの新宿のキタムラ フォトギャラリーで米美知子さんの『素敵なタイトルの付け方』出版記念展が開催されていたのでいってきました。出版直後に本屋で買って、タイトルのつけ方から写真の撮り方まで詳しく解説してあったので、熟読していました。その生の写真が見れるのです。 仕事帰りによってみると、なんと本人が会場にいるではないですか。一組の来客者と楽しそうに話をしています。夕方なので他にお客さんは居ません。あのお客さんが帰ったら、自分も話が出来るかも。いきなり緊張です。 順に写真を見ながらも、どんな話をしてるのかが気になります。とても和やかに話が盛り上がってます。気さくな人なんだ。一体何を話そうか、話せるだろうか。写真を見ながらあれこれ頭を駆け巡ります。 生で見る写真は写真集とはまた別の世界でした。澄んだ空気、森の湿気、川のせせらぎの音が聞こえてくるようです。 写真を見終わったころに前のお客さんが帰りました。「青い森話(しんわ)~八甲田・奥入瀬・十和田~」という写真集を売っていて、私は本屋で見つけられなかったのでそのことを聞いてみると、既に完売して現在増刷中なんだそうです。こんな写真集なら誰でも欲しくなるはずです。その話題を突破口にいろいろ話をさせていただきました。 米美知子先生(ここから敬称が変わります!)は、思った以上に普通のきゃしゃな女性でした。 そんなきゃしゃな米美知子先生が重い機材を背負って撮影に行くのです。645本体にレンズ6本とデジタル一眼と交換レンズ2本。もちろん大型の三脚も。 すさび:「よくそんなにいっぱいのカメラを持てますね。」(こんな軽いのりで会話させてもらいました。) 米美知子先生:「気合で持ってます(笑)必要だと思うと持ててしまうんですよね。」 面倒くさいと三脚を放棄した自分が恥ずかしい。 すさび:「やっぱり645ですか」(にわか勉強で645を知っといて良かった。) 米美知子先生:「そこに漂う空気感や奥行き感が写せるのが違いますね。」 う~やっぱり645だよ。 すさび:「私はD200なんですけど、デジタルじゃ風景は駄目ですか。」(駄目とは云わないと思うけど聞きたいじゃないですか。) 米美知子先生:「私もペンタックスのK10Dで撮りますよ。645と同じセッティングで。先ほどの方もペンタックスの方で、新しいカメラが出るとそれでのリクエストがあるんですよ。」(随分親しげに話してると思ったらお客さんじゃなかった。私はこんなに親しげにしゃべってよかったのか?) なるほど、空気感という+αの部分は表現できないけど、撮る側がちゃんと見る目と技術を持ってきちんと撮影してあげればデジタルで立派な作品は撮れるのだ。失敗を恐れてはいけないが、失敗しないように心がけて一押し入魂で撮らなくてはいい写真は撮れないのだろう。 写真集を2冊購入し(もちろんサイン入り)、心の高ぶりを抑えつつギャラリーを後にしました。ここでそのすべてを記すと長くなるので省略しますが、実は30分近くもたくさん話をさせていただきました。最後に自分を覚えてもらおうと仕事の名刺まで渡してしまいました。 すさび:「私もこれから5年計画でがんばります。」(おいおい大胆な発言!でも何で5年なんだ?先生は2年計画だぞ。) 米美知子先生:「有名になるまで、この名前覚えておきます。」 なんともとっさに大胆な宣言をしてしまった。まあ、5年あればなんかできるかもしれない。言ってしまったので、がんばるしかない! 米美知子先生失礼な質問に丁寧に答えていただいて、大変ありがとうございました。 ここで米美知子先生に出会ったのも何かの運。この運を活かさなければ!よし、ペンタックス645Nを買おう・・・。 この長い物語は単に新しいカメラがほしいというだけで書いたようなものだとの誤解を受けそうだが、それも事実である。 しかし!昨年あれだけカメラやレンズを買いまくって、やっとフルセット揃ってやれやれという状況下。賞金つきのコンテストに入賞でもしていればまだしも、あの雑誌の入選では図書カード2枚で2,000円。中古のペンタックス645Nとレンズで200,000円。ええいじゃあD200とレンズ全部売ってしまえ!と言ったら、さすがに家族の総スカンを食らって、我慢することに。 じゃあ今年はD200を限界まで使い切ってやろうじゃないか、と珍しく購入をあきらめて、D200で真剣勝負となりました。 真剣勝負となれば重くて面倒な三脚の登場です。三脚嫌いの私の家には、なぜかすでに2台の三脚があります。一台は10年前になぜこれにしたのか記憶がないうちに買ったスリックのアルミ三脚ですが、D200を支えられません。D40レンズキットにはなんとか使えそうです。 もう一台は15年前に買ったジッツォ2型のアルミ三脚です。雲台(上のカメラが載るところ)もジッツォ。なかなかいいものを持っているではないかと関心して、これを持ち出して撮影です。洗足池も新宿御苑も秋川渓谷へも担いでいきました。米美知子先生と同じ絞り値で撮ってます。まあ出来は5年後のお楽しみです。ところが広角や標準はいいのですが、望遠レンズをつけるとレンズの揺れが止まりません。それに首が下がって狙いも定まらないのです。 うちに帰って米美知子先生の三脚をチェック!雲台はハスキー、三脚はジッツォなんですが一回り上の3型です。645との差はもちろんあるのですが、三脚のカタログを調べるとやはり3型じゃないと望遠は使えないようです。 うおー、三脚だ。三脚が必要だ!とういことで、もうこれはすぐに買ってしまいました。望遠つけてもまったく揺れないし、ハスキーの雲台はぴったっとカメラが止まって快適です。 とまあ、結局なんか買わないと気がすまないのです。 趣味はなんですか?と聞かれたら、「カメラです。」といってしまいそうな自分が怖いです。 よし、今年は「写真」を趣味にするぞと誓ったのでした。5年後が楽しみです。どんな機材を手にしているか、じゃなくてどんな写真を撮っているか。
by susabi2007
| 2008-02-13 23:33
| すさび写真生活
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